三洋化成では、調達についてもお取引先のご協力を得ながらサプライチェーン全体で協働してCSR向上を図っていくことが重要であると位置付けています。従来からCSR調達、グリーン調達を実施してきましたが、2021年3月に国連グローバル・コンパクトへ署名したことを契機に、これまで掲げていた「購買方針」を見直し、2022年1月に「サステナブル購買方針」として改定しました。この方針のもと、サステナブルな社会の実現を目指す調達活動を推進します。

サステナブル購買方針

  1. 法令順守に加え企業倫理に基づき社会的良識をもって調達活動を行い、お取引先様と相互協力、信頼関係の構築に努めます。
  2. 国内企業、海外企業を問わず公正な取引機会を提供し、グローバルな観点から調達活動を行います。
  3. 調達活動にあたっては、資材や原材料の品質、価格、安定供給等諸条件を考慮します。また、お取引先様と連携して、適正な価格設定や品質等の維持向上に努めます。併せて、環境保全や化学物質管理などグリーン調達を推進します。
  4. 地球環境への配慮、人権や労働環境の保護等、社会が求める企業責任に応えるお取引先様のお取り組みを考慮し、サプライチェーンを通じてサステナブルな社会を目指します。

サステナブル調達ガイドライン

お取引先と協働してサステナブルな社会を目指すためのツールとして、当社のみならずお取引先においても取り組んでいただきたいことを「サステナブル調達ガイドライン」にまとめています。ガイドラインは、国連グローバル・コンパクトの10原則を、健全な企業経営、公正な企業活動、環境、人権、労働、品質・安全性、地域社会との共生の7つの切り口で具体的な行動を提示しています。
購買方針と本ガイドラインをWebに掲載するとともに、お取引先へのCSRアンケート依頼時に添付し周知を図っています。

取引開始にあたって

当社では、取引開始にあたり、以下の書類のご提出をお願いしています。
これらへの記載内容に基づき、お取引先のCSR活動状況、サステナブル調達、グリーン調達推進状況を把握・評価させていただいて共有し、サステナブル調達のレベルアップを共に目指していきたいと考えています。

【採用に必要な書類】

原料関係

(1) 納入仕様書(原料)Excel

(2) 安全性データシート(SDS)

(3) 納入品に含まれる化学物質に関する保証書(RoHS 6物質に関する不使用保証書)Excel

(4) 環境・化学物質管理調査票 Excel

(5) CSRアンケート Excel

容器関係

(1) 納入仕様書(容器)Excel

(2) CSRアンケート Excel

CSRアンケート

CSRアンケートはグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンのセルフアセスメント質問表(SAQ)を利用し、国連グローバル・コンパクトの要求事項をどの程度満たしているかを数値化しています。要求事項に満たない項目は、改善を促すメッセージが発せられるようになっています。
2022年度は主要原料のサプライヤーにアンケートを依頼し、全社から回答を得ました。その結果、主要原料のサプライヤーはグローバルな大企業が多く総じて評価ポイントが高いことがわかりました。項目別では80点を下回る回答もありましたが、方針や運営システムはあるものの状況確認や是正の仕組みが不足しているというレベルでした。

主原料サプライヤーのSAQ回答結果

評価項目 平均点(100点満点)
コーポレート・ガバナンス 98
人権 98
労働 98
環境 98
公正な企業活動 100
品質・安全性 100
情報セキュリティ 98
サプライチェーン 97
地域社会 98
SAQ総括表
  • 全114設問の回答(5点満点)を評価項目ごとに平均し100点満点で表示

2023年度は労働・人権面でリスクが考えられる油脂類のサプライヤーを中心にアンケートを実施・評価し、サステナブル調達のレベルアップにつなげていきます。

RSPO認証

RSPO認証

パーム油については、栽培や生産時の環境破壊や労働・人権面で問題が指摘されています。これらの問題を解決するため、RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)は、パーム油の認証制度を設けています。持続可能性の観点からサプライチェーン中で適切に管理されたパーム油(誘導体)を調達・使用していくことが求められるようになってきたため、当社は2013年にRSPOへ加入し、2023年1月に本社、東京支社および国内の自社工場(名古屋工場、鹿島工場、京都工場、衣浦工場)において、マスバランス方式で認証を取得しました。当社グループでも、サプライチェーンマネジメントの一環として、適切に管理されたパーム油を調達・使用していくことをサプライヤーに求め、認証パーム油の利用を拡大し、持続可能な原料の調達と供給体制の整備を推進していきます。

RSPO認証
  • マスバランス方式:RSPO認証では、3種類の認証方式(アイデンティティ・プリザーブド、セグリゲーション、マスバランス)と1種類のクレジットモデル(ブック・アンド・クレーム)が設けられている。マスバランス方式は、製造過程で認証油と非認証油が混合されて流通する認証モデル。非認証油も含まれるが認証農園・搾油工場から供給された認証パーム油の数量は保証されている。

ISCC認証

ISCC PLUS認証(国際持続性カーボン認証)は、バイオマス由来の原料が持続可能かつ追跡可能な森林破壊のないサプライチェーンを実現し、適切に管理されていることを担保します。バイオマス由来のポリエチレングリコール(PEG)について、当社は2023年5月に本社、東京支社および国内の自社工場(名古屋工場)において、マスバランス方式によるISCC PLUS認証を取得しました。PEGはエチレングリコールや水に酸化エチレンを付加して得られる重合体で、化粧品・トイレタリー、樹脂などの工業用途や医薬品など、幅広い用途に利用されています。当社は、今後もバイオマス資源の利活用など、カーボンニュートラルの実現に貢献していきます。

紛争鉱物について

紛争地帯であるアフリカのコンゴ民主共和国やその周辺国で採掘される鉱物(紛争鉱物:特に金、タンタル、タングステン、錫)は現地武装勢力の活動の資金源となってきました。武装勢力は非人道的な行為で、地元住民を鉱山で強制的に労働させていると言われています。
企業は、その企業活動を通じて、武装勢力による人権侵害や紛争へ加担しないため、自らのサプライチェーンを精査し、リスクを回避、緩和することが求められています。
当社では、サステナブル調達ガイドラインに「サプライチェーンの透明性を確保し、紛争鉱物の調達や犯罪などに関与しない」ことを掲げ、当社で調達する原材料について紛争鉱物の含有有無や産出国調査を行うとともに、サプライヤーにもこれを求めています。これらの調査結果をもとに、お客さまからの紛争鉱物に関する要請にお応えしています。

原料のBCP対応

災害(自然災害、大火災、テロ攻撃など)発生時の事業継続のため、お取引先の協力を得て、原料のBCP対応を進めています。原料の複数購買化や類似原料の統廃合、あるいはサプライヤーサイドでの複数拠点化などに取り組んでいます。