三洋化成グループは、社是「企業を通じてよりよい社会を建設しよう」に基づいて、ステークホルダーのみなさまと連携しながら、経済的価値と社会的価値を共に向上させて、将来にわたって持続的に成長することを目指しています。そのためにも、ステークホルダーのみなさまから信頼されるコーポレート・ガバナンスを構築することを経営の最重要課題のひとつと位置付けています。
コーポレート・ガバナンス体制
当社は監査役会設置会社です。また、取締役会により決定された経営方針などに従い執行役員が業務執行を行う「執行役員制度」を導入しており、「経営の意思決定・監督機能」と「業務執行機能」を明確に区分しています。
コーポレート・ガバナンス体制図
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取締役・取締役会
取締役の任期は1年とし、取締役8名のうち3名は経営の監督機能強化の観点から独立社外取締役にするとともに、取締役会の議長は業務執行を行わない取締役から選定しています。毎月原則1回開催し、経営方針などの重要事項の決定と、取締役・執行役員による業務執行状況の監督を行っています。2023年度は15回開催しました。
監査役・監査役会
監査役4名のうち3名は社外監査役です。監査役は取締役会や経営会議などの重要な会議に出席する他、重要な決裁書類の閲覧などを行います。当社の広範な業務に精通した社内出身の監査役の知見と、財務・経理・会計に従事した経験もしくは企業経営に従事した経験を有する社外監査役の知見を活用して、取締役の職務の執行を監査しています。また、監査役会直轄の組織として監査役スタッフ室を設置し、取締役から独立したスタッフが監査役の職務を補助する体制とすることで、監査の実効性確保に努めています。
経営会議
経営会議は原則毎月1回開催し、取締役会により決定された経営方針などに基づき、執行役員が行う重要な業務執行上の決定を行っています。
各委員会
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委員長 | 2023年度 開催実績(回) |
役割 | |
---|---|---|---|
指名・報酬委員会 | 社外取締役 | 6 | 取締役会の諮問機関として、社外取締役が委員の過半数を占め、取締役の指名・報酬に関して取締役会へ答申を行う他、取締役会からの諮問によらず、取締役会の機能強化等に関する事項について独自に検討し、提言する。 |
サステナブル 経営委員会 |
社長 | 2 | 取締役会直轄の組織で、持続的な成長に向けたプロセスおよび環境・社会・ガバナンスに関して優先して対応すべき重要課題への対応方針を審議・決定する。 |
コンプライアンス 委員会 |
社長 | 2 | 取締役会直轄の組織で、コンプライアンスを徹底するため、その基本方針や施策を審議・決定する。 |
内部統制委員会 | 社長 | 2 | 取締役会直轄の組織で、内部統制システム全般の基本方針の決定ならびに内部統制システムの整備・運用・評価・改善活動を指導・監督する。 |
各委員会の構成
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白井 | 樋口 | 原田 | 須崎 | 奥 | 西村 | 小畑 | 佐野 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
指名・報酬委員会 | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
サステナブル経営委員会 | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
コンプライアンス委員会 | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
内部統制委員会 | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 |
(注)◎委員長、〇委員
取締役選任基準
当社は、営業・研究の各機能、生産・間接の各部門の専門能力・知見・実績をもとに経営の課題に対する客観的判断能力や先見性・洞察力などを有する社内出身の取締役と、豊富な経験に基づき客観的な視点から積極的に助言、提言などを行うことができる社外取締役により取締役会を構成することを方針とし、バランスや多様性などに配慮の上、取締役候補者を選任しています。
社外取締役選任理由
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氏名 | 独立役員 | 選任の理由 |
---|---|---|
白井文 | ○ | 当社の独立性基準を満たしているため、一般株主と利益相反が生じる恐れはないと判断し、独立役員として指定しています。同氏は長年にわたり市政運営に携わり、行政活動を通じた豊富な経験に加え、他の上場企業の社外取締役として企業経営に関わった経験と実績を有しています。これらの幅広い経験・知見を活かし、独立した立場から有用な指摘・意見をいただくことによって、今後も当社企業価値の持続的向上に貢献いただけることが期待できるため、社外取締役として選任しています。 |
小畑英明 | ○ | 当社の独立性基準を満たしているため、一般株主と利益相反が生じる恐れはないと判断し、独立役員として指定しています。同氏は人事・総務を中心とした管理部門での豊富な実務経験に加え、幅広い事業領域を持つ企業において長年にわたり経営に携わった経験と実績を有しています。これらの幅広い知見・経験を活かし、独立した立場から有用な指摘・意見をいただくことによって、今後も当社企業価値の持続的向上に貢献いただけることが期待できるため、社外取締役として選任しています。 |
佐野由美 | ○ | 当社の独立性基準を満たしているため、一般株主と利益相反が生じる恐れはないと判断し、独立役員として指定しています。同氏は上場企業や公益法人におけるダイバーシティ推進や人財育成に関する豊富な実務経験に加え、他の上場会社の社外取締役として企業経営に関わられた経験と実績を有しています。これらの幅広い経験・知見を活かし、独立した立場から有用な指摘・意見をいただくことによって、今後も当社企業価値の持続的向上に貢献いただけることが期待できるため、社外取締役として選任しています。 |
監査役選任基準
当社は、上場企業の経営者または経理部門の責任者などの経験に基づく高い専門性と見識を有し、加えて法令上の社外性を有する社外出身の監査役と、専門分野での知識、経験を基に、客観的な監査に関する意見を述べることができ、業務執行者からの独立性を確保できる資質を有する社内出身の監査役により監査役会を構成することを方針とし、監査役会の同意のもと、監査役候補者を選任しています。
取締役会のダイバーシティ
取締役会は、その役割・責務を実効的に果たすための知識・経験・能力を全体としてバランス良く備え、ジェンダーや国際性、職歴、年齢の面を含む多様性と適正規模を両立させ、各人の人格などを総合的に勘案して取締役候補者を選任しています。次の基本的な考え方に基づいて中長期的な企業価値の向上を図るため、当社の取締役会に必要なスキル項目を指名・報酬委員会で検討し、企業経営、コンプライアンス・リスクマネジメント、多様性への理解・サステナビリティ、国際ビジネス、研究開発・生産・新規事業開発、営業・マーケティング、人財開発・育成、財務会計の8つの項目を定めました。本スキル項目は、経営環境や社会情勢などを踏まえて、必要に応じて見直しを行います。
基本的な考え方
- 社是「企業を通じてよりよい社会を建設しよう」の実践を通じて社会に貢献すること
- 安定的な経営基盤を堅持し、既存事業の強みを活かしつつ新規事業開発に積極的に取り組むこと
- 多様性を尊重し、働きがいを感じるワクワクする会社を実践すること
2024年6月末時点での取締役会は、これらのスキル項目に関する知見を有する取締役8名(独立社外取締役は3名、うち2名が女性)と、監査役4名(独立社外監査役2名)で構成されています。また、独立社外取締役には、他社での経営経験を有する者が含まれています。
取締役会の多様性「どのように取り組むか」
当社が2022年に特定したマテリアリティのひとつである「挑戦を恐れない透明性のある経営」に「どのように取り組むか」として、取締役会の多様性に以下の指標を明記しています。
- 女性比率≧30%への引き上げ
- 独立社外取締役比率:取締役会≧1/3
スキル・マトリックス
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氏名 | 役職 | 社外 | 独立 | 保有するスキル | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
企業経営 | コンプライアンス・リスクマネジメント | 多様性への理解・サステナビリティ | 国際 ビジネス |
研究開発・生産・新規事業開発 | 営業・マーケティング | 人財開発・育成 | 財務会計 | ||||
白井 文 | 取締役 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||||
樋口 章憲 | 代表取締役 社長 |
● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |||
原田 正大 | 取締役 | ● | ● | ● | ● | ||||||
須崎 裕之 | 取締役 | ● | ● | ● | ● | ||||||
奥 喜之 | 取締役 | ● | ● | ● | ● | ● | |||||
西村 健一 | 取締役 | ● | ● | ● | ● | ||||||
小畑 英明 | 取締役 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||
佐野 由美 | 取締役 | ● | ● | ● | ● | ● | |||||
黒目 泰一 | 監査役 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |||
竹内 昌 | 監査役 | ● | ● | ● | ● | ||||||
加留部 淳 | 監査役 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||||
中野 雄介 | 監査役 | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
役員報酬およびインセンティブ
取締役の報酬等についての基本方針
- 企業業績向上に向け優秀な人財の確保につなげる
- 職責に見合った報酬水準、報酬体系となるよう設計する
報酬水準、報酬体系決定のプロセス
業績の推移や外部の客観データなどを勘案して決定しており、その妥当性については、社外取締役を過半数とする指名・報酬委員会において検証しています。なお、取締役の報酬等の決定に関する基本方針は、取締役会で審議・決定しています。
報酬等種類の概要
取締役報酬は「基本報酬」「賞与」および「株式報酬」で構成されています。
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報酬の種類 | 概要 |
---|---|
基本報酬 | 各取締役の役割と責任を基準に、中長期および当該事業年度の業績状況や他社水準も勘案の上決定し、月例で支給。 |
賞与 | 業績向上に対する意識を高めるため、企業の収益力を表す連結経常利益を指標とし、当該事業年度の業績状況等に基づき支給基準額を算出し、各取締役の役割と責任を基準に配分を決定したうえ、各取締役に対する個人評価を加味して個人別支給額を決定、支給。 |
株式報酬 | 株式交付規定に基づき、役位等に応じてポイントを付与し、原則として取締役退任時にポイント数に応じた当社株式を交付。 |
取締役の個人別の報酬総額に対する基本報酬・賞与・株式報酬の額の具体的な割合については定めていないものの、報酬水準、報酬体系は、業績向上に向けたインセンティブとして有効に機能するものとなるよう、社外取締役を過半数とする指名・報酬委員会において定期的に検証します。
取締役・監査役への研修
社内出身および常勤の取締役・監査役に対しては、就任時に当社定款、取締役会規程などの社内規定の説明を行い、社外取締役および常勤の社外監査役に対しては、当社工場など事業所の視察実施を通じて、事業内容の理解促進を図っています。また、2023年度は外部講師を招いて、資本コストや株価を意識した経営に関する講演会を実施しました。
主な議案と審議事項
取締役会
- 中期経営計画、総合計画策定・修正
- 主要な事業の運営方針
- 出資、融資案件
- 取締役会の実効性評価結果の確認
- 指名・報酬委員会への諮問事項
- 決算関係書類の承認
- 株主総会関係手続に関するもの
- 会社法に基づく、利益相反取引や役員賠償責任保険等の決議、重要な使用人の選解任・役員報酬関係
指名・報酬委員会
- 役員報酬に反映する評価指標について
- 次期代表取締役社長候補者の育成計画の検証
- 高吸水性樹脂事業からの撤退に伴う特別損失計上に対する経営責任について
- 相談役・顧問・特別嘱託の任期について
サステナブル経営委員会
- サステナビリティ基本方針
- TCFD提言への対応
- 人的資本経営の活動状況
- 資本コストや株価を意識した経営の実現
- CSR推進管理委員会の活動状況
- 持続可能な分配
コンプライアンス委員会
- 企業倫理勉強会の実施計画、および実施状況
- 内部通報窓口等への通報の実績
- コンプライアンス委員会規定の改定
- リスクマネジメント活動の状況
内部統制委員会
- 財務報告に係る内部統制の評価結果
- 「内部統制システム」運用状況概要の「事業報告」への開示案について
- 財務報告以外の重要リスクに係る内部統制システムの運用状況評価結果
取締役会実効性評価
当社は毎年1回取締役会実効性評価を実施しています。2023年度の取締役会実効性評価に際しては、社外を含む全取締役と全監査役を対象に、匿名のアンケート調査とその結果に基づいて取締役会の実効性を評価しました。
2023年度の取締役会に係るアンケート調査
- 対象:
- 社外を含む全取締役(9名)と全監査役(4名)
- 時期:
- 2024年3月
- 方法:
- 客観性を確保するため、第三者機関のシステムを利用して匿名で実施
- 内容:
- 下記大項目の各設問に対して、5段階評価もしくは自由記述欄にコメントで回答
- 取締役会の構成、運営
- 取締役会の議論
- 取締役会のモニタリング機能
- 取締役のパフォーマンス
- 取締役、監査役に対する支援体制、トレーニング
- 株主との対話
- 取締役自身の取り組み
- 指名・報酬委員会の運営
結果は、2024年5月開催の取締役会に報告され、アンケート調査における5段階評価の集計結果と自由記述欄のコメントを基にした議論・分析を行った上で、実効性の評価を行いました。
実効性評価の概要
前年度に行った実効性評価で、取締役会の実効性をさらに高めるため改善の余地があることが明らかになった「取締役会の運営・議論にかかる個別事項」および「事務局による支援の充実」に関して、今回の調査結果では低評価「改善されていない」との回答はなく、ほぼ全員が「おおむね改善」と回答していることを受け、取締役会としては一定の改善が見られたと評価しました。上記のアンケート設問に対する回答結果から、取締役会の実効性はおおむね確保されていると評価しました。
今後の課題
取締役会の実効性をさらに高めるために、議長が各取締役に対し、より積極的に意見を述べることを促し、また社内取締役は自らが経営の監督者であることを意識して発言し、より闊達な議論を行うとともに、投資家との対話のフィードバックや政策保有株式の保有当否検証、それらを踏まえた「資本コストや株価を意識した経営」の実現に向けた対応を一層進めていく必要があると認識しています。また、社外役員のみの意見交換の場の設定や、役員向けのトレーニングの充実など、事務局による支援体制の一層の充実も必要であると認識しており、これらの課題に対して真摯に取り組んでいきます。
サクセッション・プラン(後継者育成計画)
当社では、2030年度における当社グループの「ありたい姿」を実現するために、当社の代表取締役社長が備えるべき人財要件(あるべき社長像)を定めています。この人財要件に照らし、必要な資質・能力を後継者候補に備えさせるためのトレーニングを計画的に実施し、指名・報酬委員会で定期的にその進捗を検証することで、選考プロセスの透明性を確保しています。